今回はトレード中に初の日本政府による為替介入に遭遇した。FXを始めてまだ半年少々だが、実際に為替介入を体験してみると、想像以上にエグかった。
米国FOMCから日銀政策金利発表、そして黒田日銀総裁の会見等の一連の指標により、ドル円が145円を一気に超え、146円を超えそうな勢いだったので、これは伝家の宝刀の為替介入がいよいよ起こりそうだという予感があった。それに、数日前に政府のレートチェック発表もあったので、自分のポジションは早めに利確しておいたので助かった。むしろ、逆に大きな利益を上げることが出来た。これが予想できなかったら、多大な損失を食らっていただろうと思うと恐ろしい。
ただ、その後、ドル円が猛烈なリバウンドがあり、介入の効果に疑問が残る状態であった。
ということで、滅多にお目にかかれない為替介入時のトレードを記録しておこうと思う。
いつものようにGMOクリック証券FXによるトレードで、チャート分析はTrading View。
政府口先介入~米国CPI~レートチェック~米国FOMC~日銀政策金利~為替介入までのドル円チャート
では、日本政府、鈴木財務相の口先介入から為替介入までの一連のドル円(USDJPY)の15分足チャートを見てみる。
まず、2022/09/07にドル円が145円に迫る高値を付けた。
ネットの情報では、145円の一線を超えたら政府の介入が入りそうという事前の予想が多かった。現に政府はドル円の投機的な上昇に大きな懸念を示していた。
エリオット波動理論については初心者であるが、波動的には2022/09/07の高値で上昇波動は完成したらしく、その後下落することはある程度予想ができた。
そして、2022/09/09に鈴木財務相の口先介入があり、ドル円が下落し、押し目を付けた。
この時、いよいよドル円天井が想定され、大幅下落するのかと予想した。
しかし、2022/09/13の米国消費者物価指数(CPI)発表で、まさかのサプライズがあり、逆転急上昇した。事前のアナウンスではインフレ鈍化と聞いていて、多くの投資家はドル円は下がると予想していたと思う。
この直前、自分のドル円ポジションはショートしていて、エリオット波動的に直近下値の抵抗線付近で下落波動は完成すると予想していて、指値決済を入れておいたので助かったのだった。CPI発表後に下がったら更に追加ショートするつもりでいたが、発表後は一時下落したものの、その後トレードツールがフリーズし、ポジションとれなかった。そして、復帰したと思ったらまさかの逆転急上昇で多くの投資家が驚いたと思う。
その後、2022/09/07の高値を超えて、いよいよ145円超えるかと思ったが、何と、鈴木財務相からレートチェックしたとの発言があり、ドル円急落した。この時、145円ラインが政府としての抵抗線だなと思った。それを超えると介入がありそうだなと予想できた。
過去事例のレートチェックでは、その後に介入があったという事実があり、ある程度想定できた。
その後、2022/09/22の米国FOMCでは、市場の予想通りの利上げでドル円が上昇したが、パウエル議長の会見でハトっぽい発言があり、ドル円急落。(FOMCの値動きについての詳細は後述する)
しかし、その後の日銀政策金利発表では誰もが金融緩和継続と予想していたこともあり、ジリジリとドル円は再上昇。
そして、2022/09/22の日銀政策金利発表で、一気に2022/09/07の高値を抜け、更に145円も抜けて上昇。
しかしその後、一瞬で約2円の超高速急落。これは7月の政策金利発表と同様の動きだったのである程度予想できた。
その後、黒田日銀総裁の定例会見でジリジリ上昇し、146円に迫る上昇を見せた。この時はさすがにヤバイと思い、自分はポジションを閉じた。
そして、案の定、政府の為替介入で「ドッカーーーン!!!」
何と、146円弱から140円に迫るという5円抜きの急落。
自分のポジションは助かって、逆に利益が出たが、他の皆さんはどうだったんだろう?
この急落はエグすぎるな。政府の介入をナメてはいかんと思った。
政策金利発表時のチャートについては後で詳しく述べる。
米国FOMC~パウエル議長定例会見時のドル円チャート
2022/09/22 AM3:00に米国FOMC(連邦公開市場委員会)があったので、前日に早めに寝て、2:30頃起床してトレードに参戦してみた。
下図はドル円(USDJPY)1分足チャート。
ネットやSNSの情報では、今回のFOMCではサプライズ的な利上げは無いだろうという見方が多かった。ただ、先日のCPIではサプライズがあったこともあり、+1.0%もありえそうだった。
市場の予想では+0.75%で、結果は予想通りだった。
今までのFOMCの値動きでは、直前に下げるとFOMC発表時に跳ね上がることが多かったので、それを期待してロングして勝つことができた。ただ、市場予想通りということはそれほど伸びないと思ったので早めに利食いした。
その後の3:30からのパウエル議長定例会見では、ハトっぽい発言があり、急落していった。ここもある程度乗ることができたので利益を出すことができた。
ただ、これだけ政策金利が上がるということは、この急落は限定的で、すぐに戻してFOMC時の高値を超えていくだろうということはある程度予想できた。
日銀政策金利発表と黒田日銀総裁定例会見時のドル円チャート
では、2022/09/22の日銀政策金利発表と黒田日銀総裁の定例会見時のドル円1分足チャートを見てみる。
今回の日銀政策金利発表は11:51頃だった。
日銀政策金利は現状維持で金融緩和継続ということは分かっていた。これを覆すことは日本政府の性格上有り得ないと思った。
よって、以前のこちらの記事で紹介したように7月の政策金利発表時の値動きと同じだろうと想像し、ロングして待ち構えていた。
そして、それが的中し、FOMC時の高値を超え、更に一気に145円も超えて行った。
145円より上は前に述べた通り強烈なリバウンドが予想されたため、早めに利食った。
次の急落を待ち構えていたが、チャートからちょっと目を逸らした一瞬で高速急落して、ショートするチャンスを逃してしまった。
これは痛かった。この急落は何と2円抜きだった。悔しい…。
今思えば、この急落は政府の介入だったのかも知れないと思える。
そして、その後15:30からの黒田日銀総裁定例会見後は、7月の値動きと同様と想定すると、直近高値を超える上昇がある思った。
しかし、今は145円越えの危険ゾーンなので、なかなか強気でロングできなかった。それが幸いしていたのかも知れない。
黒田日銀総裁の会見は予想通りの内容でサプライズは一切無かった。
ただ、会見終了後、16:00からの欧州市場開始で急上昇していき、146円間近まで迫っていった。
FOMCで利上げして日銀政策金利は緩和維持なので、ドル円は延々と上昇していきそうな雰囲気だった。しかし、頭の隅には介入があったので、146円間近でロングする気にはなれず、146円超えたらショートしようとも思っていた。そして、どうしようか頭を巡らせていた矢先に17:03頃にドーンと急落していったのだった。
日本政府為替介入時のドル円チャート
では、日本政府による為替介入時のドル円チャートを見てみる。
為替介入は財務省に権限があるらしい。
日経新聞のこちらの記事によれば、日本の外貨準備高は8月末時点で約1.29兆ドルで、為替取引市場の1営業日の平均取引高は約3700億ドルだそうだ。よって、全部使ったとしても約3日分しか持たないらしい。当然、全部使い切ることはできないらしい。
それを踏まえて、3分足チャートを見てみる。
2022/09/22 欧州市場開始を過ぎた17:03に為替介入と見られる急落があった。
この時は、上昇波が完了した後の通常のリバウンドかと思ったが、あまりにも大きい急落だったので、途中で為替介入かも知れないと思えた。そして、それに波乗りショートして利益を出すことができた。
一旦急落が止まって押し目を付けたが、そのもみ合いが明らかに下落方向に傾いていたので、強気でショートできた。チビチビ利確しても上がったらショートすれば利益が出た。
この下落の勢いから、9/13のCPIの下値を割るまで介入の手を緩めないだろうと想像できた。
案の定、下値を割り、何と141円も割って、140円前半まで下げて行った。
その後、強烈なリバウンドがあったが、そこは静観した。まぁ、日米の金利差からいずれ強烈な上昇リバウンドはあるだろうと想像できた。ただ、値動きを見ていると、今までになく頭を叩かれているような動きだったので、これは2回目の大きな介入があるかも知れないとも思えた。
そうしたら、案の定、20:35に大きな下落があった。
これは介入ではないかも知れないが、自分は介入だろうと思った。
もしかしたら、140円を割るかも知れないと思ったが、思ったより早めに失速して上昇リバウンドしてしまった。
これで介入は終わりかなと思ったが、23:14にも長めの陰線が出た。
ただ、勢いがなく、すぐに全戻しして上昇した。これは介入だったのだろうか?
その後のチャートも見てみる。
翌日の2022/09/23(金)は日本の祝日で秋分の日。
午前中9:00以降は少々の下落を見せたが、介入と思われる動きは見られなかった。
ただ、18:55頃までに急上昇していった後、ストンと落ちる陰線が出た。これは介入だったのだろうか? 明らかに頭を叩くような下落だったのでショートして乗ってみたが、勢いは限定的で上昇したので、ヤバイと思い損切りする羽目になった。
その後、20:11もストンと落ちたので、すぐにショートして乗ってみたが、今度は超高速上昇リバウンドで、大きく含み損を抱えてしまった。明らかに投機筋がリバウンドを狙ったプライスアクションで、巻き込まれてしまった。この動きで、介入はもう終わったのかも知れないと思えた。でも、過去の事例から、大きな介入が1日で終わるはずがないと考えられるので、今後のロングポジションは十分注意しなければならない。ショートスキャルピングで勝負していった方が安全かも知れない。
では、為替介入時の所だけのチャートをもう一度見返してみる。以下は5分足チャート。
このように、青い破線の2回目の介入前のリバウンド高値を超えないように、介入で頭を叩いているように見える。
さて、その後の週明けの値動きはいったいどうなるのか、楽しみだ。
日足のドル円チャートで今後の値動きを想定できるのか?
では、政府の為替介入によってどこまで下げるのか、はたまた投機筋に負けて上昇するのか、日足チャートを見て想像してみる。
まず、2021年から今日までのチャートで、米国金融緩和の終わりが囁かれた2021年10月頃を起点としてチャネルラインを下図の様に引いてみる。
一番上の緑色のラインは1998/07の高値で、その下のラインは2002/01の高値ライン。
破線の中間線は効いているのだろうか? 微妙な気がする。これでは、今後どっちに動くかは予想し難い。
別の引き方、つまり、高値の頂点を結んだチャネルラインを下図の様に引いてみる。
こちらの方がやや中間線の効きが良いように見える。この場合、上昇波は終わったように見える。
これは下図の様に、2022/02/24のロシアのウクライナ侵攻を起点としてチャネルラインを引いても同じのようだ。
では、2021/01頃の上昇を起点として下図の様にチャネルラインを引いてみる。
この中間線の効きは微妙だ。
では、下図の様に、2021/04の上昇ピークと2022/07の上昇ピークを結んでチャネルラインを引いてみる。要するに、直近の高値は黄色いチャネルラインを上抜けした形になる。
この場合は中間線が効いているように見える。
こうすると、直近高値は上昇インパルス3波中の5波が終わって、上ヒゲを付けて急落とも予想できる。
ただ、先週の英国トリプル安から、ポンド/ドルが急落し、チャネルラインを割って更に伸びたことも考えると、上抜けが伸びるということも想定しておかねばならない。
米国10年債利回りのチャート
では、ドル円と共に必ず監視しなければならない米国長期金利(米国10年債利回り)のチャートを見てみる。まずは日足から。
緑色のチャネルライン内で見ると、2020/08~2021/03までの大きな1波があり、2021/08~の上昇3波形成中の様に見える。そして現在は2022/08からのほぼ一直線上昇で、紫色のチャネルラインでは、エリオット波動で言うと上昇3波中のインパルス3波がほぼ伸び切ったように見える。
次に1時間足を見てみる。
これは先ほどの日足の上昇3波中の3波の中の5波と思われるチャネルライン。
直近では、2022/06の高値の赤い破線を抜けて、更に黄色いチャネルラインも上抜けて2011/02の高値も抜けてピークを付けた。これはほぼ、上昇3波中の3波の中の5波が完成し、上昇3波中の4波形成開始のように見える。すると、ドル円は今後しばらく下がるとも想定できそうだ。
しかし、チャネルラインを大きく上抜けたということは、上昇方面への5波形成中とも取れる。いずれにしても、今後、来週はこのピークを上抜けるのかに注目していきたい。
まとめ
日本政府による為替介入は、ドル円5円抜きという、想像以上にエグい下落だった。
ただ、やはり日米の金利差が大きすぎるため、その後の強烈なリバウンドもあり、効果は限定的だろうと思われた。
外貨準備を使いきるほど本気で介入するならある程度効果は期待できるかもしれないが、そこまでやるとは思えない。
この介入で税金が使われていると思うと、複雑な気持ちだ。
そして、この介入はたった1日足らずで終わるとも思えないので、クロス円でロングポジションを持つ場合は、逆指値を入れておくなど、しばらくは十分警戒しておかねばならないと思った。
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